聖クルアーンと科学

 

 私たちが共有する環境

 

環境とは、生命体の周囲にあるあらゆるもの、そしてそこに生命体が生きている場のことを指します。生命体の周囲の地理的領域、一定の気候条件、汚染物質、または騒音などです。


自然環境は種(相互作用している生命体の集団)のモザイクを内包しています。それらは別々に生きるのではなく、互いと関係を持ちながら生きています。生命体の特定の集合(植物・動物・バクテリアなど)と、それらが互いに、そしてその周辺環境に対して及ぼす作用が、生態系を形成しています。


生態系は規模によって分類することができます。大規模なものとしては、全世界を一つの生態系と見なすことができます。しかしそれは一つの池や一本の木において見られる小規模なものでもありえるのです。生態系(生命体、植物、土壌)の各要素はエネルギーと栄養素(イオン)の移動によって互いに結び付けられます。
環境は皆に影響を及ぼします。私たちが吸う空気、食べる食べ物、飲んで浴びる水、そして私たちが散歩する田舎、これらはすべて人間の汚染行為の影響を受けています。これらの行為の結果が明からになり、環境への負荷が強まるに連れ、私たちが世界について抱く懸念も高まってきました。


私たちが共有する環境問題の中で、何が最も重要でしょうか。


温室効果は、人類が直面している最大の環境問題上の脅威です。その展開を遅らせ、それを防ぐために試みることのできる手段は限られたものしかありません。世界はあまりにもたくさんのエネルギーを誤った方法で利用している、という教訓が、より理解されるようになってきています。地球温暖化と戦うための最も明らかな手段は、化石燃料の使用を減らすことです。なぜならば、この主要なエネルギー源は大気中に炭素を放出することによって、温室効果の最大の要因になるからです。


オゾン層の穴(オゾンホール)は、ほとんどの人にとって自ら目にすることのできるものではなく、その重要性の理解には専門家の助けを要します。しかし、人々が皆気づいている大気汚染の一つの側面は、発電所、工場、そして車の排気ガスからもたらされる煙とガスなのです。大気汚染は、私たち皆に影響を与える一つの脅威です。世界中で、10億以上の人−世界人口の5分の1−が、世界保健機関(WHO)の定めた「大気汚染に関する環境基準」を満たさない地域で暮らしています。

 

例えば、ボンベイで呼吸をすることは、一日に10本の煙草を吸うのと同じです。アメリカでは大気汚染が年に5万人もの人に死をもたらしていると言われています。実際、重要な環境汚染問題が、重工業によって石炭を燃焼させている世界の多くの国に存在しています。これらの石炭を利用する火力発電所からの排出物は何らかの処理を受けることなく水や空気に混入します。環境保護に関する技術は十分に発達しておらず、それに関わる法律はわずかばかり機能しているか、まったく機能していないかなのです。


大気汚染は工業国だけの問題ではありません。発展途上国では、異なった種類の大気汚染が人々の健康を侵害しています。いくつかの地域、例えばアフリカでは、屋内での調理の際の煙が、幼児の重篤な肺疾患を引き起こします。空気中の一酸化炭素は血液の酸素を運ぶ力を弱めます。そしてこれは心臓疾患に苦しむ人々に危険をもたらします。もう一つの物質、窒素酸化物は強力に肺を刺激する物質であり、インフルエンザのような感染症への抵抗力を弱めます。さらに、大気汚染がもたらす最も深刻な結果の一つに、酸性雨があります。
 

色々な形で人間は現在著しく大量のごみを発生させており、それによって害を被る危険の中にいます。ニューヨークには世界最大のごみ処理場があります。6階建てのビルほどの高さのクレーンが都市から出る一日あたり2万6千トンのごみを荷船からおろし、文字通りごみの山を作るために常に稼動しています。また、イギリスは毎年8000万トンのごみを作り出しています。理論上、1トンのごみは400立方メートルの埋立地ガス(埋め立てられた有機物が分解することによって生じるガス)を作り出します。その60パーセントはメタンガスであり、約40パーセントが二酸化炭素と窒素や水素のような微量のガスです。

 

通常埋立地ガスは最初の数年間にわたってかなり早期に発生し、その後その発生は次第にゆっくりと減少していきます。平均ではごみの4分の1が腐るのに15年かかり、その危険は持続的なものとなります。ほとんどの埋立処分地で、メタンガスや二酸化炭素が空気中に拡散していきます。しかしこのガスは、現実的な危険を見せ付けることがあります。例えばメタンガスは、空気中の濃度が5パーセントから15パーセントに達すると、爆発することがあります。


しかし、もしごみ処理場が適切に管理されるなら、多くのエネルギーをそこから抽出することが可能となります。ただそれは、そこに入るものをより正確に管理することを意味します。


埋立地から出るガスを燃焼させ集積させるもう一つの理由は、それが有益で環境にも優しいという点です。それは温室効果を抑えます。メタンガスは二酸化炭素と比べ、27倍、温室効果への影響が少ないのです。このことは、もしメタンガスが二酸化炭素を発生させるために集められ、燃やされるなら、温室効果への最終的な影響が減少するということを意味するのです。埋立地ガスを燃焼させると、ごみに含まれるCHCs(クロロフルオロカーボン=フロンガスの一種)が破壊され、温室効果をさらに減少させます。


メタンガスは、ごみ処理場に関する唯一の問題ではありません。更なるリスクは、川や帯水層を汚染する有害物質を外部に漏らしてしまうことです。


ごみを投棄することが唯一の選択肢なのではありません。他に2つの実現可能な手段があります。それを燃やして灰にしてしまうか、あるいは再使用・再生することです。現在、ごみのうちわずかな割合のものだけがそのように対処されていますが。


水は最も基本的で、生きるために必要なものの一つです。私たちはそれを飲み、それで洗い、それで料理をします。動物や植物は水なしで生きることはできないのです。しかしここ数世紀、水はますます汚染される傾向にあります。町や都市、工場や農業から生じる廃液が川や海、湖に排出されるためです。そして汚染物質は地下帯水層にまでしみ込みます。長年にわたり汚染が動植物を死なせ、多くの川が生物学的に死んだ状態となってきました。川の汚染は、人間にも病気や死をもたらしました。


ここ20年ほど、あるいは人間がそのじわじわと与えられるダメージに気づきだして以来、国家的・国際的に川や海、湖に排出されるものについての管理が実行されています。世界の川や海をきれいにするのは、痛みをともない、長く、大きな費用のかかる事業となり得るでしょう。

 

しかし、この問題を研究するすべての人が、そのことが不可欠であるということに同意しています。海に廃棄される三つの主要物質は、浚渫土と産業廃棄物と下水汚泥です。ごみ処理の際の海上や陸地での事故による汚染に加え、いくつかの国では農薬、化学肥料として意図的に用いられている化学物質による深刻な問題が存在します。農薬に含まれる硝酸も化学肥料も両方が水を汚染する可能性があります。また殺虫剤は食べ物を汚染します。環境保護に関わる人たちは硝酸と化学肥料の影響について関心を高めています。硝酸についての懸念は誇張されたものであるかもしれませんが、化学肥料の使用に関する問題は発展途上の国々においてとりわけ憂慮すべきものです。


熱帯雨林の破壊は、最も注目されるべき事柄の一つです。1950年には、熱帯雨林は世界の陸地の約25パーセントを占めていました。現在それは7パーセントに満たないのです。


環境への大きな脅威についてその一部を見てきたことで、ある疑問が生じているかもしれません。
「地球を救うにはもう遅すぎるだろうか?」


メッセージは明白です。もし私たちが、環境に与えられたダメージを修復しようと試みるなら、私たちは今、行動しなければならないのです。手遅れになる前に、私たちの価値観や優先順位を見直すべきです。実際に警告に耳を傾けなければなりません。今日、私たちは浄化、緑化の技術を選択しなければなりません。浄化と緑化の技術とは、清掃技術のみを意味するものではありません。私たちは技術を発展させるべきですが、それは環境に優しいものでなければならないのです。


注意深く宇宙を見るなら、私たちはそこに生態的均衡、調和のとれた相互関係、そして相互扶助を目にすることができます。あなたはこれが成り行きまかせなものであると信じていますか?そう、神によって創造された宇宙の均衡を維持しなければならないのです。


「凡てのことは、かれの御許で測られている」(第13章/雷電章8節)


「どのようなものでも、われにその(無尽の)蓄えのないものはない。(必要に応じた)一定の分量以外には下さないだけである」(第15章/アル・ヒジュル章21節)


「本当にわれは凡ての事物を、きちんと計って創造した」(第54章/月章49節)


環境は、単に私たちが無駄使いするために祖先から受け継いだものではありません。それは私たちが子供たちの為に行なう信託、投資なのです。環境の保護や保存は重要で重大な、人類の問題です。そしてそれはイスラームの問題でもあります。なぜなら人間は被造物の資源について理解し、それを用いる義務を負い、釈明する責任を与えられた神の創造物であるからです。創造において人は要因でもあり、目的でもあります。他のどのような生物も、環境を保護するという任務を実行することはできないのです。


神はクルアーンで、いくつかの指針を私たちに与えてくださっています。


「かれは大地からあなたがたを造化され、そこに住まわせられた」(第11章/フード章61節)
「他人のものを詐取してはなりません。また迷惑を及ぼす行いをして、地上を退廃させてはなりません」(第26章/詩人たち章183節)


「人間の手が稼いだことのために、陸に海に荒廃がもう現われている。これは(アッラーが)、かれらの行ったことの一部を味わわせかれらを(悪から)戻らせるためである」(第30章/ビザンチン章41節)

 

 

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